刺激的な日々

昨日は、「世界農業遺産を地域おこしに活かす」というタイトルの勉強会でした。
ゲストスピーカーは、39歳の小野副知事。あまりに面白い講演で、1時間半があっという間でした。


何がそんなに面白かったかというと、彼が行政の立場を離れて、「自分が南阿蘇に住んでたらこんな事に着目する」という私見をバシバシ言ったこと。それも、世界農業遺産は「きっかけ」に過ぎないこと、自分たちは何を目指していくのか、という建前じゃない話だったこと。


たとえば、「行政としては学校の統廃合を進めている立場ですが、学校がなくなるっていうのは、コミュニティがなくなるということ。絶対になくしちゃいけないと思うんです」とか、「バックパッカーが泊まるような安宿が阿蘇にたくさんできたら、若い旅人が世界から来る。その人たちが将来家族を連れて戻ってきて高級宿に泊まってお金を落とすかもしれない」とか、「村の職員にデザイナーを雇うべき。デザイナーさんも不況で大変なんだから、行政職員として安心して仕事に就き、景観をよくするようなデザインを無償ですればいい」、「海の環境が不安定な中、21世紀は養殖魚の時代になるかもしれない。山の奥で高級魚の養殖が盛んになってもいいではないか」「メガソーラ発電の立地協定に毎週のようにハンコを押しているが、何かがおかしい。ほとんどが県外資本の案件。熊本に降り注いだ太陽の恵みで得た利益は県外に落ちている」等々。次々と面白い視点を披露してくれました。

同い年で、なんとなく似たような環境に育った彼とは、考えることや目指すことがよく似ていて、いちいち共感。バブル崩壊後の東京でそこそこ裕福な家庭に育ち、いわゆる有名高校、大学に進学。10代での挫折。「モノ=幸せ」ではないと本気で感じる環境。地方へ移り住んで、それまでの東京目線を離れ、価値観が180度変わる体験。そして子育て。

自分たちが育ってきた大都会の環境がいかに「持続可能」じゃない状況にあったかということに、地方で暮らしてみると気づきます。都会が田舎を支えているんじゃなくて、実はその反対であるということにも。そして、子育てが始まると、何を子供たちに残していきたいかを初めて「自分事」として真剣に考え始めます。不惑の40歳を前にして、「これまでの経済成長に文句を言っても悔やんでも仕方ない。自分たちや子供たちの将来のために、これからどうやって軌道修正をできるか考える」という前向きな視点は、私たちアラフォー世代で面白い事に取り組んでいる人たちに共通している気がします。

講演後、県が立ち上げた「くまモンおやつプロジェクト」の産物であるポン菓子を手に、ツーショットで写真を撮ってもらいました。なぜか「禁煙」がバックですが(笑)副知事も、こめポンもジャンジャン世の中に出ていきますように!


そして今日はですねぇ、前々から一度ゆっくりお話ししたかった方からお誘いを受けて、ホイホイ山から街に下ってきました。


その「方」とは、食生活ジャーナリストのやまけんさんこと、山本謙治さん。同じ大学の、同じ学部を出た先輩で、在学中から畑仕事をするサークルの創設者として有名人でしたが、当時の私は農業どころか畑と田んぼの違いもよく分かってないような都会っ子だったので、興味があるはずもなく。就農してからは、いつかお話ししてみたいと思い続けてはや10年。無理をせずとも、いつかきっとお会いできる気がしていたところ、やっとチャンスが訪れたのは今年の夏前。あか牛の試食会が熊本で開かれた時でした。

何とも気さくに、そしてノリノリで話して下さるやまけんさん。今度また熊本に行くからリストランテミヤモトであか牛を食べよう!とお誘い頂いていたのです(^o^)



やまけんさんがお客さん、ということで、めっちゃ張り切ってた宮本けんしん。お肉の焼き方やあか牛の魅力についてあつーく語る姿を見て、ほんとにシェフなんだぁ、って(笑) 私といるときは、世界農業遺産の話ばかりしているもんですから…。でも、シェフ・宮本けんしんのレクチャーを聞いて食べるあか牛は極上のサッパリしたお肉。部位や調理方法の違う3種類のお料理を頂いて、やまけんさんともゆっくりお話しできて、贅沢な午後でした♪


話が盛り上がって長居していたら、「マダムゆず」でご活躍の神谷さんも登場。できたての最高にフレッシュなユズゴショウを、バニラアイスと頂きました。全く予想がつかなかったけど、アイスクリームに包まれたピリ辛のユズゴショウは、香りだかくて美味でした。


次の10年の目標として、あか牛を肉として販売することを挙げているので、これからもやまけんさんやけんしんさんのアドバイスを頂きながら、お米の次は、あか牛肉の生産者を目指していきまーす。その前に、まずはこめポン。けんしんさんと神谷さんにもPR写真を撮らせて頂きました。