秋ですな〜

面白い拾い者をしました。自転車で日本を縦断している22才のオーストラリア人。観光協会で安宿を探していた時に3000円でも高い!と悩んでいた彼女とふとした拍子に話しはじめてうちに来ることに。


一食一飯のお礼にタマネギ苗の定植を手伝ってくれることに。こんな旅番組、確かあるよねぇ? お休みで家にいた子供たちも畑にやってきて和やかに楽しく畑仕事をしていたのですが、事件はその間に起きていたのであります…


皆が畑に出てしまった後、たまたま遊びに来ていた子猫のコマがネズミ取りに引っかかって大暴れ。後ろ足としっぽがベタベタに(*_*)洗っても落ちない。こすってもとれない。毛を切るしかない状況に。おとなしく切られているコマ。子猫なので肌までが至近距離。1時間ちかくもチョキチョキと切ってたもんだから、肩凝った〜。もう引っかからないでね…


そんなアクシデントもありましたが、オーストラリアのローズが来た日に、イスラエルから来たローマンも遊びに来て、国際的で底抜けに明るい晩餐会となりました。旅好きな若者たちはそれぞれ多才で、ローズはピアノ、ローマンはギターで自作の曲を披露。オーストラリアの大学を卒業した日本人のコーキも、何気なくギターの弾き語り。生きる力の強い若者たちに乾杯!


デザートはアケビ♪ご近所さんから袋いっぱい頂いたのです。柿に梨に栗に早生のミカンも。ご近所さんや友人から届いた果物がいっぱいでウキウキの秋ですo(^-^)o


先週、「環境デザイン策定委員会」に出席しました。私が卒業したのは、環境デザインコース。勉強したことがそのまま活きることの幸せを感じました。一番印象に残った一言はこちら。

阿蘇の農業は公共財を生み出している」

それなんですよ、それ。そのことを、私たち農家がもっともっと自覚しないとな、と思いましたo(^-^)o

とても考えさせられる委員会だったので、かいつまんで報告します。たぶん、どこの農山村でも当てはまることなんだと思いますが、昨日は阿蘇の会議でしたので、「阿蘇」の議論としてご紹介します。


阿蘇の景観は基本的に農村景観なので、農業や畜産業が続かない限りは守ることができません。私が「景観」という場合、見た目の風景だけではなく、生態系や文化なども含めた表現として使っています。


また、「阿蘇の景観」というのは、これまでは結果としてつくられたものだったのですが、今はそれが「目的」となりつつあります。つまり、先人のように暮らしていくことで景観を守るのではなく、「先人の暮らしによってできた美しい風景を守る」ことが目的になってきているということです。


ただこの目的は、単にノスタルジックなものではなくて、この美しい農村風景こそが、「農村の価値」である、という実利的なものです。農産物の販売だけでは、今後農業を続けていくことは非常に厳しい時代。その時、農村の持つ癒しや学びの場としての役割が新たな価値になっていくというわけです。

先日、フランス人のゲスト講師が熊本に来られました。私はこづみカフェのイベント中で講演を聞きに行けなかったのですが、その時の会話を昨日の委員会で紹介して頂きました。

「和食が世界遺産になったが、”和食に合う風景”とはどんな風景か?」という問いに対して、
「食事をした田舎のレストランの周辺を散歩したら、田畑があって、茶畑があって、銀杏が落ちていて、ついさっき食べたものが散りばめられた風景だった。そこに住む人にとっては特別な風景ではないかもしれないが、これこそが和食に合う風景だと思う」との答えだったそうです。

日本は美食の国。美味しいものがたくさんあります。でもそれを作られているのが「こんな美しい場所」ということが伝われば、美味しさはさらに増します。でも都会の人がみる「美しい農村風景」は、そこに住んでいる人にとっては当たり前だったり不便だったりして、必ずしも価値があるものではありません。そこをどうするか。

結局は、時間がかかったとしても「教育しかないだろう」、というのが最高齢の委員さん(現役農家さん)のご意見でした。でも時間がかかっている間に、農家がどんどん減って、その「美しい風景」を保つことができなくなってしまうかもしれない、とも。

なかなか、深いです。教育を通じた長期的な「価値の継承」と、現実的に農家が景観を守るような農業や暮らしを続けられるための中期的な政策との両方が必要で、昨日のような委員会がどんなにいい議論をしたところで、それが単なる報告書で終わってしまっては意味がない。景観を守ることが、「社会システム」の一部になれば良いのですが、そこはやはり一村民ではいかんともしがたいです。もちろん、こんな風にして発信は続けていきますが、都会の皆さんから「その当たり前の風景が美しい!」という直接的なメッセージが、農村の住民にどんどん届くといいなぁとひそかに思っております。どうぞよろしくお願いいたします!