ドイツ取材3日目

今日の取材は午前中だけだったのですが、またまた刺激的だったなぁ〜

訪れたのは、人口1300人のレキシンゲンという町。
黒い森の中にある深い谷間の集落で、ナウシカが住んでる風の谷のみたい。
昔は集落の周りに草原があって、その上に森があったそうですが、
条件が悪いので次々と農家がやめてしまい、森の遷移がすすんで
集落の際まで木で覆われるようになっていました。

10年前、手入れのされていない森に病気が発生。日本の森林組合にあたる組織が、一部の森を切り開いたところ、日当たりはいいわ、風通しはいいわで住民が喜びました。それなのに、森林組合は「木を植えなおす」と。住民はそれを機に立ち上がります。「もともと草原だったところを草原に戻そう」と。昔の写真や絵を見つけ出し、めざす姿をイメージします。ボランティアで伐採に参加する人もいれば、機械を提供する人、そのどちらもできない人はお金を寄付。何と60万ほど集まったそうです。そして切り開いてできた草原がこちら。

こりゃ確かに日当たりが良さそう。それと、集落の間近まで森がせまっていた時は、風通しが悪くて霧が晴れず、家の中もかび臭かったのだそうですが、木を切ったことで風が抜けるようになり、非常に過ごしやすくなったんですって。「役場がお金を出してくれないから何もできない」と文句を言うのではなく、「自分たちの力でどうにかするぞ!」という意気込みが素晴らしかった。ちなみに、この景観を守るために活躍しているのがヤギと羊なんだけど、肉として売っても採算があわないので、年に1度「羊祭り」を開催することに。一気に60頭くらい肉にして、ソーセージや煮込み料理として販売することで残らず売り切れるのだとか。

羊ソーセージはその時しかない、とのことで、こちらは鹿ソーセージ。見た目はめっちゃ美味しそうだけど、実はそうでもなかった(苦笑)。やっぱり豚の方がいいや。今日は山の上でも23度。ビールとレモネードを割った「ラードラー」が最高でした。


それから、黒い森地方で大嵐があった後、そのまま自然の遷移にまかせているところを見学。倒木でできたアーチ。

遊歩道を歩いていくと、倒れた木々が折り重なってる。よほどすごい嵐だったのでしょう。12年たって、嵐の後に芽吹いた木々があちこちで成長していました。日本だったら、倒木を全部どかして、そして植林しなおしてるだろうな。別にどちらがいいというわけではないのだけど、なんとなくドイツらしさを感じた場所でした。