ドイツ取材7日目 〜最終日!〜

とうとう全ての行程を終えました。今日は、「景観保全」を経営内容の一番目に挙げている、という農家さんを取材。迎えてくれたのは、33歳の若き後継者マーティンさんでした。まずはご自慢の牛さんを放牧場で拝見。

今回の取材旅行では、どこの農家で見る牛もみんなフレンドリー。家畜が人懐っこい、というのは、農場を訪ねた人にとって嬉しいんですね。人に慣れるためには、常に人が接していることが大切なのだそう。限られた人数で農業をやっていると朝晩しか見に行けないのが現実ですが、今日尋ねた農家さんも家族経営。お父様と若夫婦の3人+職員1名で約180ヘクタールの農地と200頭の牛を管理しているというのだから、人数が少ないことを言い訳にはできなさそうです。ちなみにうちは、8ヘクタールの農地と30頭の牛。単位が違います。

ここの農場は、マーティンさんのお父さんが「失われつつある景観を守る」という使命感ではじめた農場で、マーティンさんは二代目。牛舎の作り方も、経営の仕方も、そしてマーケティングの仕方も独自に考えた方法だそうで、誰にでも真似できるようなやり方ではないとは思いますが、志の高いお父様だったからこそ、マーティンさんが後継者として戻ってきたんだろうな、と思いました。「景観を守る」って簡単にいっても、傾斜が25%以上あるような草原を管理し続けるのは並大抵の努力ではないはず。写真じゃなかなかどれくら急斜面かが分かりにくいのですが、それでもこんな。

従来の牛だと斜面を壊したり、転がり落ちたりするのだそうで、ロシアとインドの牛を掛け合わせた「ゼブ」というものすごく小型の品種を就農2年目から導入したそうです。フィレ肉やステーキ用の商品価値が高い部位はレストランに卸し、残りはミンチにしてソーセージに。見たものは食べなきゃ、という信条のもと、本日もゼブソーセージを頂くことにしました。アレンジをしてくれているハネスがパンや果物も買ってきて、川辺でピクニック。

一緒に写っているのが熊本日日新聞の記者さんです。手に持っているのはもちろんゼブソーセージとそれからブレッツェル。ソーセージは牛肉100%だとパサつくので、お隣さんちの豚肉も混ぜているのだそうです。ボイルされているので、調理せずにそのまま食べられるのは魅力。そしてこれがドイツのスタンダードなピクニックです。

これでいいなら、大分ラクだわ(笑)。結局、日本の方がずっとずっと食生活が豊かで、そして食文化も大事にしているということを再確認。食材だってずっとバラエティーに富んでいて味もいい。そういう日本の食を支えていくため、今年の米づくりもがんばろう!そんな気になれただけでも、日本を離れた意味があったように思います。あか牛の商品化もがんばるぞ〜。


長いようで短かった7日間。延泊して遊んでいけないのが残念ですが、仕事=勉強=遊び、の理想的な取材旅行だったので、十分満喫しました。来週から始まる連載は、私が主人公なのだそう。どんな記事になるのか、今のところまったく予想できません。帰りの飛行機で見せてくれるのかなぁ?ではでは、家族と田んぼと動物たちが待っている阿蘇に向かってそろそろ出発します。