NO作業デー 〜農業以外のことを思う日〜

今日は珍しく朝から一度も田畑に行きませんでした。
切羽詰った仕事が一応(本当に「一応」ですが)おわっているので、時々激しく降る雨を理由に、農作業をお休みしました〜。


それを知ってか知らずか、ふいのお客さん。三鷹ジブリ美術館を立ち上げる頃から仕事をされているという方と彼女さん。ちょうどこちらも夫婦そろって家にいる、というヒジョーに珍しい状況でお迎えすることができました。いろんな話で盛り上がったのですが、特に面白かったことを2つほどご紹介したいと思います。


<その1> 二次元と三次元


最近の子供たちは、「となりのトトロ」の舞台となっている世界を実際には知らない、とのこと。例えばどんぐりがどんな木からどんな風に落ちてくるか分からない、と。宮崎駿さんは、ご自身の映画で描き出されている世界を、二次元のものとしてだけ捉えて欲しくないという思いから、ジブリ美術館を作ったのだそうです。だから、ジブリ美術館の周りにはドングリの木がたくさん植えてあり、美術館の中も、宮崎駿の世界を3次元として体感できるようにデザインされているのだそうです。ふーむ、なるほど。


ちなみに、昭和初期みたいな環境で暮らしをしている我が家の子供たちにとって、トトロの世界はまさに自分たちの身の回りにある世界。はじめてあの映画を見せたとき、「わぁ、うちと一緒だ!」って3人とも言ってましたもん。その後、うちで「まっくろくろすけだ!」と発見されたのは、泥がついたままのサトイモ。得体の知れない黒い物体が部屋で発見されるとまっくろくろすけに見えてくるようです(笑)。


<その2> ジブリ人気の秘訣

宮崎駿映画は、一つの作品を「より多く」より、「より長く」観てもらうことを大切にしているのだそうです。映画館でもテレビでも同じこと。そしてキャラクターグッズもしかり。宮崎駿のキャラクターグッズはどこにでもは置いていないのだそうです。そこに農産物との共通点を見出しました。これまでは、「いつでもどこででも手に入る」がよしとされていましたが、「限られた期間に限られた場所でしか手に入らない」でもいいではないですか。キャラクターグッズはさておき、農産物なんていつでも同じものがある方がおかしい!・・・これは一昨日、一緒にごはんを食べた新聞記者さんが言っていた台詞の受け売りなんですが。でもそのとおりだと思います。工業製品みたいにいくらでも作れるものではないのですから。


以上の2つが、今日の話題で印象に残ったことでした。「ただの農家」から、「思いを表現して伝えることのできる農家」を目指している夫にとっても、ヒントになったことは多かったみたいです。1泊2日の強行スケジュールで阿蘇を訪れている中で、我が家を訪れてくださったお二人に感謝です。


ここ数日、芸術とか文化とかに触れたり考えたりすることが多く、少しは気持ちにゆとりが出ている証拠かな?お米のタネを蒔いてからこれまで、息をつくヒマもありませんでしたから。先週の金曜日には、夫と二人で演劇を観に行きました。アンドロイドと生身の役者さんが共演する劇で、最新技術のスゴさに舌を巻きました。アンドロイドの表情は、ほとんど人間と見分けがつかないほど。そのアンドロイド(写真)を開発した大阪大学の山本浩先生が会場にいらしていて、開発の裏話やアンドロイドの持つ可能性を劇の後に話して下さりました。先生の目的は、「アンドロイドを人間に近づけること」。プログラミングさえすれば、喜怒哀楽の感情も持たせることができるし、内蔵モーターを増やせば、走ったり飛んだりもできるそうです。人間だけができることって一体なんなんだろう、と考えさせられちゃいました。

ちょっと長くなってしまいましたが、いつもと違うものに触れるのは刺激的で、いろんな事を考えた数日間でした。