第1回家族会議 〜大津家の子育て記録(長いです)〜

友人の勧めで、「一生食べていける力がつく大前家の子育て」という本を読みました。その友人とは大前家の長男。育てられた本人です(笑)。


農繁期に読書なんて普段はとても無理。でも、阿蘇を襲った大雨のおかげで農作業ができず、久しぶりに本が読めました。おもしろすぎてほとんど一気に読破。刺激を受けたと言うより、励まされた感じを受けました。テレビを食卓におかないとか、自分で決めさせて親がサポートするとか、両親がちゃんと意思疎通しておくのが大事とか、基本的には我が家の考えとよく似ている内容だったからです。そうして育てた息子さんがとてもナイスガイなので、このまま続けていいんだ、という自信がつきました。巻末に息子さん二人のインタビューがあったのもおもしろかった。


せっかくなので冒頭の一部をちょっとご紹介します。

「21世紀というのは、こうすればうまくいくという正解を誰も知らない時代、つまり「答えのない時代」です。(中略)そうした中を生き抜いていけるのは、当然ながら、「決められた正解」を暗記するのがうまい人間ではありません。どんな状況でも「自分の頭で答えを考え出す力」や、それを伝えて人を動かしていく力を持った人間なのです」


まさにそうだと思っています。その答えのない時代でさえ、絶対的に正しいのは、「きちんと食べること」なのではないでしょうか。子供を育てるために農業を始めたわけではありませんが、3人の息子たちと過ごしながら、食べ物がどこでどうやってできるのかをを知っていること、そして田畑でできたものの旬のおいしさを知っていること、というのは「生き抜く力」の根底にあるのではないかと感じるようになりました。この点については、かの大前研一さんに一言アドバイス申し上げてもいいくらいかもしれません!?


素晴らしい本に出会って、いろいろ考えさせられたので、夕食の後に家族会議を開くことにしました。議題は「どうすれば大切なものがなくならないか」。小学生になってからほとんどのことは自分たちでやっていますが、持ち物が多くて、紛失が増えているからです。また、いろんな人におもちゃをもらって、いつの間にか物だらけになっている我が家。学校のもの以外もよくなくなります。でも、「ちゃんと使ったら戻しなさい」と叱るのではなく、自分たちで考えてもらおうと思ったのです。


食事中、「今日はご飯が終わったら家族会議しよう」と持ちかけると、「やる〜!」と子供たち。小さい時から私が可能な限り打ち合わせや会議に連れて行っていたからか、会議という言葉は知っていました。しかも、「じゃぁジュースとお菓子を用意しなきゃ」と次男。うーん、何か勘違いしている気もしますが・・・。夫が「よし、分かった。そういう会議もあるな」と彼らの申し出を受け入れたので、我らにはビールを、子供たちにはジュースを用意。「丸くなって座ったらみんなの声が聞きやすいよ」と長男。なるほど、ということで食い散らかされた食卓を離れてリビングで円座に。いよいよ会議のスタートです。

議題を言い終わるか終わらないかの内に、3人の手が勢いよく挙がりました。ほんとに分かっているのかな?と半信半疑で順番に指名。

本好きの長男が先頭バッター。「最近、本棚の前がぐちゃぐちゃなので、読み終わったら、ちゃんと向きを考えて一人一人が戻せばいいんだと思います」

おぉ、素晴らしい。

学校のプールを何よりも楽しみにしているのに、水泳坊や水着がよく見つからなくなる次男。「洗濯籠に入れるとき、洗えるものと洗えないものを分けて、ゴーグルとかサンダルはランドセルの側に置いておけばいいんだと思います」

分かってるならやればいいのに(苦笑)。

家族の一員として、しっかり正座してみんなの話を聞いている三男。「おもちゃが見つからなくならないように、大切なおもちゃは分かりやすい場所に置いておけばいいんだと思います。」

拍手!

ちゃんと敬語まで使えているので笑いそうになりましたが神妙な顔つきで。「じゃぁ、あなたの”分かりやすい場所”はどこですか?」と聞くと、「自分の棚です」との答え。こんな具合で、30分以上も次々と意見が出され、あまりの立派な会議に私たち両親はただびっくり。挙句に、「今日の意見を忘れないように、僕たちが言った事を紙に書いて張っておいて」ですって。問題を見つけ、それの原因を探り、どうすれば解決するか、という3つの事をきちんと考えていて、感動しました。


うちの息子が、ということではなく、子供って、子供なりにきちんと見るべき事は見て、考える事は考えているんだなぁ、と改めて。親だからと言って、彼らに何でも押し付けるわけにはいきません。4歳どころか、言葉を発しないような頃から、子供は子供で考えているんですものね。彼らなりの目と耳と頭と心で。「考えを教える」のではなく、「考える力を伸ばす」ことが親の役目だなぁとつくづく感じました。大切なことに気づかせてくれた大前研一さんに感謝。そして、もちろん息子たちにも。あぁ、久しぶりに楽しい会議だった。大人の会議でもなかなかこうはいかないぞ!記録係として、早急に議事録を作成したいと思います(笑)。