お正月雑記その2

お正月モードなんてとっくに終わっているのですが、三が日はパソコンを立ち上げさえしなかったので、今になってポツポツと報告する次第です。


お正月は本当にゆっくりしながら、年末の大掃除でみつかった古いビデオを夫の実家で見ました。母が録画しておいてくれたテレビ番組で、「モモ」や「はてしない物語」の著者であるミヒャエル・エンデ氏のインタビュー。VHSに録画してあるから、ずいぶん前の番組で、しかも1986年に放送されたものの再放送。つまり、インタビューがあったのは四半世紀以上前!それなのに、今わたしたちが直面している問題にヒントを投げかけていて、改めてエンデ氏のすごさを感じました。以下、一番心に残った内容です。


「私たちは外面的にはかつてないほど豊かになったが、内面的にはかつてないほど貧しくなってしまった。それは、産業化社会の国々で共通することなのに、我々は”先進国”と名乗って自分たちの価値観を世界中に押し付けている。新しい市場をつくるために。本当は、他の文化(=多様性)の豊かさにも目を向けるべきなんです。」


30年たった今でも、このエンデ氏の指摘は的を得ているのではないでしょうか。彼の著書、「モモ」には、次のような文が書かれているようです。


「大都会では時間の節約をする人が増えた。増えれば増えるほど、本当はやりたくない人もそれに調子を合わせるようになる。ラジオもテレビも文明の利器の素晴らしさを訴え続ける。文明の利器こそ、時間のゆとりを生んでくれるのだ、と。しかし現実はそれとは違う。時間貯蓄家は立派な身なりをしているが、不機嫌でくたびれた顔をしてとげとげしい。余暇の時間でさえ少しのムダもないように、限られた時間のうちにできるだけたくさんの娯楽をつめこもうとやたらとせわしなく遊ぶのです」


「モモ」を読んだのはあまりに昔で記憶が曖昧なので、もう一度読み直してみようと思いました。


これを聞いたとき、ちょうど「何も予定を入れずに」ゆっくりしていたので、とても心に響きました。娯楽をつめこむことなく、子供たちとゆっくり公園に行って野球をしたり、家にあるモノで卓球大会をしたり。特に「娯楽」と呼べるプログラムをしたわけではないのに、とても楽しくて豊かだった。あぁ、エンデ氏が言っているのはこういうことか、と。


スローライフ、という言葉の響きにはあまり納得ができずにいるのですが、このインタビューを聞いて、時間を節約することを最大の目的としない、という意味なのかもしれない、というふうに思えました。効率化がいけない、なんて思っていません。でも、効率だけでもない、と思う気持ちもあります。効率を求めたら、やっぱり都会に住むのが一番。でも、そこにはない「何か」があるからこそ、田舎暮らしに魅かれる人が増えてきているのではないでしょうか。その「何か」をしっかり説明できるようにすることが、私たちの役目かなぁ、と。そんなことを考えたお正月でした。

鏡開きくらいまでは、こんな雑記が続くかも、です。農閑期、とういことで、あまり農業の話は出てきませんが、ご一読頂けたら幸いです。