再生可能エネルギーの先進地視察

昨秋に採択された環境省の委託事業で、コーディネーターという役目についているのですが、地域の方々に再生可能エネルギー事業をより良く知って頂くために、先進地を見てきました。

訪れたのは、長野県飯田市岐阜県恵那市

飯田市といえば、市民が出資して太陽光発電所を作った先駆者で、生可能エネルギーの世界では有名な場所です。初めて訪れました。市民が1口10万もしくは50万を出資し、省エネと発電事業の利益を配当として受け取る仕組みです。発電事業もさることながら、省エネの取り組みも素晴らしかったです。まずは省エネに本気で取り組めば、エネルギー需要を減らすことができますから。

街中にあったエコ住宅展示場にペレットストーブが置いてありました。価格は40万円台だそうですが、自動で火も点くし、灰も少なくて、煙突もいらない。これから灯油価格がさらにあがれば、灯油ストーブを使っている農村の住宅にはお勧めです。そうしたら、間伐材の利用が増えて、森林の管理につながるはず。ペレットという燃料(写真)については、木屑を固めるときにエネルギーが必要なので、異論を唱える方もいらっしゃるのですが、それでもまずは木の使い道を増やすことを本気で考えないと、この国の林業はたち行かなくなります。林業が廃れたら山が管理されなくなり、危険にさらされるのは川下に住む都市部の住民。自分たちの身を守るためと思って、じゃんじゃん地元産の木材や木の燃料を使って欲しいなぁと願ってやみません。

市民出資の発電事業を手掛ける「おひさま進歩エネルギー」代表の方に仕組みや経緯のお話を伺ったあと、飯田市の職員の方からのお話も。これがすごかった!なにがすごいかって、現状をしっかり把握して、自分の立場でなにができるかを考え、そして提案して実行しているのです。つまり、自治体にお金がないのは仕方のない話。その代わり、あるのは信用力。だから、地域の住民や企業が計画している再生可能エネルギー事業について、採算性と公共性があるかを審査する機関をつくり、お墨付きを与えることで、金融機関から融資を受けやすくしてあげる、というわけ。そのために必要な条例が4月1日から施行するのだそうです。まだ条文は作っている途中だそうですが、これは素晴らしい取り組みだと思いました。それから、彼の考える成功のカギは、この分野の行政担当者を10年以上変えないこと。温暖化対策やエネルギー事業は時間も専門性も必要だから、と。彼が視察で行ったドイツでは、プロジェクトの途中で担当を変えたら、人権問題かも、と言っていたと報告されました。日本の自治体の人事も変わっていくべきだと思う、とのご意見でした。いやぁ素晴らしい!

次に岐阜県恵那市に移って、木の利用で地域を元気にしている取り組みを見学。「木の駅プロジェクト」という名前で、いま各地に広がっています。

これを仕掛けたのは元行政マンの丹羽さん。3月に南阿蘇で開くセミナーの講師をお願いしている方です。


現在、山の保有者が間伐をしても、軽トラックに一杯積んで3000円にしかならない。それじゃあんまりだろう、ということで、NPO自治体が半分補填して 6000円で買い取ることにしたのだけど、そこで一工夫。買い取りは地域通貨ですることで、大型チェーン店にお客さんを取られてしまった地元の商店の活性化もしてしまおう、というわけ。山の手入れをして汗をかいたおじさんたちは、帰りに地元商店でビールやつまみを買って帰って、仲間と宴会(^_^) 木を集めるところが木の駅 。その木で温泉の加温もしてしまう。こちらも素晴らしい取り組みで、たいへん参考になりました!


まる2日家を空けて帰ってきたら、元気な子供たちが出迎えてくれました。道中はお土産を買う時間がなかったので、セントレア空港で買った駄菓子をあげたらすごく喜ばれました。300円で買った1億円(笑)いつまでこんなもので喜んでくれるんでしょうね…。