デンマークの農家民宿

農家民宿に2泊しました。今朝、宿の奥さんとお話をしていたら、あまりに共感することが多くて、最後はしっかりハグ。是非また会いたいね、とアドレスの交換をしました。国が違っても、同じ思いの人がいる、というのは心強いものです。彼女もとてもびっくりしていました。

肉牛の飼育がメイン、ということでしたが、野菜も作って「自分の店」で売っているとのこと。現在は350頭の肉牛と、約2ヘクタールの畑で20種類ほどの露地野菜を作っているそうです。90年代には乳牛を飼っていたそうですが、酪農は規模拡大をしなければ成り立たない状況だったので、肉牛に切り替えたのだとか。16年前から有機農業をしていて、肉牛の飼育も放牧がメイン。冬場も濃厚飼料は与えずに、自家製の干し草やサイレージ(牧草などを発酵させたもの)を与えています。肉が固くならないのか聞いてみたところ、と殺した後に2週間以上熟成させることで、肉質をあげ、香り高い肉にするそうです。何とか私も実験してみたいと思います。



10年近く前に買い足した農地は、その後20倍近くに地価が上がったものの、不況により半分くらいに価値が下がったとのこと。農業をしたいという若者は少なくないのに、農地が手に入りにくいという現状は日本と一緒ですが、その原因が、地価が下がってきているために銀行が融資しないことだというのは日本と違います。日本では、田畑はたとえ使ってなくても売りたがらない、という文化があるので、よほど条件が悪い場所しか売りに出ないことが大きな要因だからです。



規模拡大路線をとらず、「家族経営で、農業に誇りを持って楽しみながら続けていきたいと思ったから肉牛の飼育に切り替えた」という点や、「有機農業は、子育て中にとても意味があった」という体験談、それに「だって農家がいなかったら、困るのは消費者でしょ!」というセリフなど、どれも私が日頃思っている事と同じ。お互い母国語ではない言葉で話しているのに、「そうなの、そうなの」と大いに盛り上がりました。



1つだけ大きく違うな、と思ったのは、農業は「公務員並みに安定した職業」と言っていた点。これは…すごいことです。日本では「自然が相手だから、変動が激しい」「所得格差が大きい」などと言われているのと比べると、酪農や肉牛の割合が大きいからかもしれませんが、ずいぶん認識が違うんだなぁと感じました。



今日は牧草ロールを作ったり、次の泊り客のために部屋を準備したりで忙しいとのことで、直売のお店や圃場を見せてもらうことはできませんでしたが、それでも実りある滞在でした。それにしても、ため息が出るほど素敵な農家民宿で、大いに刺激を受けました。


寝室。


共有のリビングとダイニングルーム

移動中に見かけた「ここは阿蘇?」と思うような景色。やっぱり阿蘇はドイツやデンマークの景色に近いのかもしれません。今日からサムソー島に泊まっています。明日は再生可能なエネルギーの取り組みについて、いろいろ見たり聞いたりする予定。そちらもまたリポートします。