慶應大学のスタディツアー

ちょっと長い記事になりますが…。


慶応大学湘南藤沢キャンパスの学生さん4名が、スタディーツアーという名目で南阿蘇に来てくれました。テーマは「阿蘇の生態系サービスと持続可能な社会をめざす取り組み」。ちょっとカタイですが。2泊3日の充実したツアーを終え、本日、東京に帰りました。


参加者のうち2人が韓国と中国からの留学生。韓国からの留学生は、日本語が呆れるほど上手でした。日本のドラマが好きで、見ているうちに上手くなったそうです。日本に来て6年目だそうですが、ほぼ完璧な日本人でした…。

以下、濃厚な3日間のリポートです。



<1日目>

空港にお昼ごろ到着したので、まずはあか牛ランチが食べられるレストランに直行。「あか牛の館」は、阿蘇の山々を眺めながらあか牛が食べれるだけでなく、あか牛や草原に関するパネルやジオラマがあり、食べる前後にお勉強ができるので、スタディーツアーにはもってこいなのです。


隣接する物産館で、地元産の農産物や加工品に加え、薪やペレットが販売されている様子も見学。都会じゃそんなもの、売ってませんものね。そして想像を絶する美味さの阿部牧場のソフトクリームも堪能。好スタートです。ドイツ語に「愛は胃袋から」という諺がある通り、美味しいものでまずはハートを鷲掴み。


ランチの後は、「オフグリッド」で暮らしているお宅を訪問しました。つまり、電気も熱も自宅で生み出している家です。屋根についている太陽光発電のパネルも自作。蓄電もいろいろ工夫をしながら。社会と離れて仙人のようにこういう暮らしをしているのではなく、「やれるところまでやってみよう」と楽しみながら暮らしている俊郎さん。参加者の皆さんだけでなく、引率の教授からもたくさん質問がでてきました。


夕方になって冷えてきたので温泉へ。


そして夜は我が家で会食。最終日に見学に行く蔵元のお酒を各種、飲み比べしました。今回は授業の一貫として来ているためか、楽しいながらも、農村のこれからについて夜更けまで語ってたくさんのアイディアが出てきました。また別の機会に投稿します♪


<2日目>

午前中はO2Farmのご案内。


牛の放牧場に行ったら、なぜか牛が舐める塩に反応。そこ?って感じでしたが、予想と違う反応はこちらにとっても新鮮でした。


参加者の一人は大学の同級生。卒業後10年ぶりくらいに博士課程に戻っていて、ツアー参加者として来ました。なんか不思議な感じでした(笑) 牛のエサをあげてくれました。


午後は、火口を目指して阿蘇・中岳へ。火山ガス規制で火口には行けなかったので、近くにある火山博物館へ。昭和な感じの展示が意外と人気のローカルな博物館です。


展示や映像には、英語に加えて中国語や韓国語でも記載あり、留学生たちも感心していました。学生時代に習った中国語をおさらいしなきゃかなぁ?帰り道に見た「米塚」は何度みても美しいです♪



火口に行けなかったことで時間が少し余ったので、NPO法人九州バイオマスフォーラムの事務所に行きました。


いまや当法人の主力スタッフとなっているシンくんは、やはり慶応大学の同級生。今回来ているみんなの同窓というわけです。私がテレビに出たのをたまたま見て、卒業以来10年ぶりくらいに電話をかけてきたことがきっかけで、2年前から南阿蘇に移住してきました。


というわけで、阿蘇にて同期3人が集合。


彼の口から
阿蘇で小さいスケールのエネルギー自給からはじめて、それがジワジワ広がることで100%自給につなげたい」
という力強い言葉を聞けたのが、この日一番の収穫だったかもしれません。
力を合わせて、やれるところまでやってみます!


<3日目>

スタディーツアー最終日の午前中は、隣町の酒蔵。唯一のお楽しみプログラムかと思いきや、「文化」という意味ではむしろメインとなる内容で、しっかりお勉強させてもらいました。


冬はお酒づくりのシーズン。蔵の外まで甘い醗酵臭が漂っています。


れいざんというお酒は元々「霊山」と漢字で書いていたそう。それはつまり、ホーリーマウンテンで、阿蘇の山々のこと。なるほど!ただ、霊という漢字から、お葬式のお酒がイメージされたようで、平仮名にしてから売れ始めたそうです(笑) 漢字もカッコいいですけどね。写真は、量り売りしていた頃の入れ物だそうです。量り売り、ぜひ再開して欲しいなぁ。


お酒は飲みすぎさえしなれば、コレステロールを下げるのだとか。百薬の長って言いますもんね。飲みすぎなければ…ね(^_^;)ハハハ…


他にも文化や歴史と関わる興味深いお話をたくさん聞かせてもらいました。貴重なお時間を頂いたお礼に、みんなでれいざんをお土産に購入。阿蘇のお酒がたくさんの人に飲んでもらえたら幸いです。山村酒造さん、ありがとうございました♪


最後のプログラムは、南阿蘇ビジターセンター。国立公園内の動植物について何でも知れる場所。今回のメインテーマは「生態系サービス」だったので、とりとしてふさわしい場所です。


ここのレンジャー「まきねえ」こと井上まきさんは…(絶句)…何と言うか…いいんです♪ 阿蘇に棲む動植物なら何でも好きで、阿蘇のことが心底好きで、その気持ちがビシバシと聞いている人に伝わります。

そのビシバシオーラを感じた学生さんと先生も、すっかり阿蘇が好きになってくれました。


3日間で見聞きしたことや得た知識はいくらでもあるけど、最後にここを「好き」って思ってもらえたことで、きっと彼らはこれからの人生でずっと阿蘇が好きでいてくれる。ただの「いいとこ」とは違う。来訪者をそんな気持ちにさせちゃうレンジャーって、本当に最高だと思います。

彼女の名物イベントも多々ありますので、「南阿蘇ビジターセンター」で検索して、阿蘇にお越しの際はぜひお寄りください!


<振り返って>
最終日のお昼ごはんに、伝統料理の「田楽」を食べながら、今回の感想について聞いてみました。授業として来ているので、英語でのレポートが課せられているそうですが、それ以外にも日本語、韓国語、中国語で、阿蘇の魅力を発信してくれるはずですので、とっても楽しみです。

以下、参加者から出てきた意見です。

① カルデラの中からは、どこに行っても阿蘇の山々が見えるのが印象的。これだけシンボル的な存在のある景観は珍しいと思う ←住んでいるとついつい当たり前になっている事に改めて気づかせてもらいました。

② 子供たちがイキイキしているのが印象的だったので、ぜひ小学生を対象とした継続的なプログラムをしたい ←全く同感です!

③ 結局は価値観。今は時間の奪い合いで、テレビはインターネットやスマホに時間を奪われている。でも…、人間らしい暮らし、はそういう奪い合いに支配されるものではないはず。 ←抽象的ですみません、と断わられたものの、一番印象に残った感想でした。

他にもたくさん出てきた意見や感想は、後日のレポートを待ちたいと思います。

何はともあれ、3日間に渡るスタディーツアーが無事に終了(^-^)v

しゃべり過ぎたのか、喉が乾いてビール気分で、外出していた夫にビールをリクエストしたら、悩ましくも嬉しいセレクションが届きました。猫のピューマがエビスの黒を選んだので、大人しく従うことに♪カンパーイ!!