南阿蘇スタディーツアー

2/6〜8(2泊3日)の予定で、東大と千葉大の留学生7人を「世界農業遺産ASO」にご招待しました。県の里もんプロジェクトで採択された取り組みです。結果的に東京が大雪で飛行機が飛ばず、3泊4日になりましたが、とにかくものすごーく中身が濃かったので、できるだけかいつまんで報告しますが、それでも長いと思います。


雪が降り出している中、留学生たち無事に到着。初日のテーマは「世界農業遺産を守る新しい暮らしと伝統的な暮らし」。


雪がだんだん激しくなる中、南阿蘇の魅力に惹かれて移り住んだ方のお宅を訪問しました。エネルギーも食べ物も自給しながら、国内外とのネットワークを築いているお宅で、留学生たちにとっても新鮮だったようです。これが「新しい暮らし」。


お昼ご飯にあか牛を食べたら、地元局の取材を受けました。県の事業として取り組んでいるので、丸2日間、撮影班が密着。3月12日の20時から1時間、26日は「夕方いちばん」という番組の中で短いけど取り上げられるようです。どちらもRKKというテレビ局です。



初日の午後は雪のため予定を大幅に変更して、役場と息子の通う小学校へ。



突然のアポにも関わらず、企画観光課の課長さん以下3名が丁寧に対応して下さいました。


そして、やはり突然お邪魔した小学校でも、放課後こども教室に仲間入り。校長先生みずから、折り紙を指導して下さいました。



移動の途中で立ち寄った「池の川水源」では、湧き水を触って「あったかーい」ですって。年間を通じて温度が一定(約17℃)なので、寒い日に触ると温かく感じるほどなのです。


初日の晩は、1、2人ずつに分かれて4軒のお宅に民泊。この民泊で体験するのが「伝統的な暮らし」です。受け入れをして下さるお宅のご婦人方が張り切って食事や寝床を用意してくれたそう。容易に想像がつきます。「普通でいいです」って言っておいたんですけどね(笑)まぁこれも「活性化」の1つということで。


2日目は、農業体験です。雪まじりのみぞれだったので、午前中は我が家の牛小屋で牛のエサやりを、午後はアスパラ農家さんのビニールハウスで土づくりのお手伝い。どちらもお手伝いというより、「ちょっぴり体験」程度の作業ではありましたが、「初めてやった!」とみんな笑顔でした。


体が冷えたので、温泉へ。露天風呂もある温泉で、たっぷり時間をとりました。



その晩、近くの公民館で、外国人留学生と地元住民の意見交換会。ま、ひらたく言えば飲み会ですが(笑)

東大や千葉大で学んでいる優秀な留学生たちが、どんなことを感じたのか。何を思ったのか。

まずはお腹を満たし、また席替えをしながらいろんな人と飲みながらお話した上で、さぁ、留学生たちの感想発表。


簡単にでいいよ、と言っていたのに、まぁみんな語った、語った。
しかも、私が普段から思っていることを見事に彼らの言葉で表現してくれた!決して、言わせていないんです。

抜粋しますと…

・とにかく「価値観の多様性」に尽きる。都市が進んでて田舎が遅れているんじゃない。どちらもあって、どちらもいい。でも何をよしとするかの「価値」(評価基準)が違うだけ。認め合っていきたいと感じた(オーストラリア人)。

・自分は都会育ちだが、「田舎」というイメージ(古くさい、保守的)は、来てみると簡単に崩れる。でも、外国人にとってまだまだ阿蘇は来づらい場所なのが残念。時間が限られていると、京都などの観光地を優先してしまうから。今回は、ご招待いただいたので、来れてラッキーだった(台湾人)

・農村と町はセット。両方あってこそ「地域」。分断されていたのは、ごく最近の事で、また「支え合う」社会に戻していきたい(ドイツ人)

・環境と共存している姿を見れてとても心地よかった。再生可能なエネルギーをもっと利用していって欲しい(フランス人)

・生産者といて農産物を販売する一次産業者から、アグリツーリズムを中心とした産業に移行すると、都市住民にとっても農村の住民にとっても「気づき」が多い。一歩を踏み出すのは大変だと思うけど、この素晴らしい空間を次世代につなげていくためにはぜひやって欲しい。(オーストラリア人)

・もっと再生可能なエネルギーの利用されている姿をみたかった(シンガポール人)

などなど。取材に来ていたテレビ局のスタッフさんも、この事業にお金を出してくれている県庁の職員さんも、そしてもちろん集まっていた地元の皆さんも、目をキラキラさせながら、「こういう取り組みはいいねぇ!またやりたねぇ!」と言っていました。


3日目の朝。全員、我が家に泊まったのですが、誰も起きてきやしません(笑)それもそのはず。朝方まで飲んでいたようです。午後の便だったので、予定していた観光をキャンセルし、予想外にのんびりした時間を過ごすことに。ゆっくりと寝て、思い思いの時間に起きてきた留学生たちは家の周りを散歩したり、ささっとプロ並のイラストを描いたり、ピアノを弾いたり…。みんな多彩です。


そうこうしているうちに、雪のためまさかの東京行き飛行機が欠航。悪あがきしても仕方がないので、午後はカフェに行って居合わせたおじさんと楽しく会話したり、マッサージを受けたり。「とっても豊かな」時間を過ごした様子です。東京は大雪でも、阿蘇は晴れ間が出ていたので、夕陽を浴びながらドライブもできました♪


欠航という予想しなかった事態を受けて、「スタディーツアーと言えども、こういう「余白」が大切なんだなぁ」、ということに気付くことができました。むしろ余白があることで、体験した事がじっくりと消化されて栄養になっている感じで、良さを分かってもらうためにも、リラックスするのがいいみたいです。


いい気づきになったので、次に活かしたいと思います。県の事業は単発なのですが、額の割に効果が大きいように思うので、大学に売り込んで、田舎のビジネスに繋げていけたらいいな、と思います。ひとまず大成功!



そして4日目の午後に、留学生たちは帰って行きました。「また来たい!!」と涙目で。いい出会いになりました。


将来性の高い7人の留学生を無事に送り出して、張り詰めていた気が抜けたのか、やる気が何も起きないので、とりあえずマッサージを受けに。 保険がきくのでナント690円!1割負担の人なら390円!体がとっても楽になりました。さぁ、片付けなきゃ。


2月10日の朝刊で、ずいぶん大きく地元紙に取り上げて頂きました。


外国人留学生を招待する取り組みは、別に阿蘇じゃなくてもいーんです。将来、きっと多方面で活躍するだろう彼らが阿蘇(田舎)のファンになってくれて、これからあちこちで宣伝をしてくれるだろうと考えると、とても対費用効果が高いんじゃないかと思います。我こそは田舎に留学生を呼び込みたいという方は、ぜひやりましょうっ!