デンマークに来ています 報告①

例年よりスタートも遅く、雨ばかりで遅々として進まなかった稲刈りが「あと1日で終わり」というタイミングで、次のミッションのためデンマークに飛び立ちました。再生可能なエネルギーの視察団に通訳として同行するというお役目です。道中で、「新エネルギー新聞」というマニアックな新聞の記事を書きながら、目的地に到着しました。


現地時間で21時過ぎに到着したので、熱いシャワーを浴びてバタンキュー。たっぷり寝て、旅の疲れも日頃の疲れもとれた感じです。新米は恋しいけど、チーズ好きの私にはたまらない朝食。心地よい静けさと空間。1人の食事も割と好きなんです。


北欧は「デザイン」が秀でていると言われていて、もちろんそれについて異論はないのですが、日本にも昔から優れたデザインはたくさんあるのに何が違うのかなぁと前から思っています。今朝ふと思ったのは、「削る」ことかな、と。1つ1つのデザインが良くても、たくさん並べたり混ぜたりすると、良さが失われてしまう。北欧の場合、デザインを引き立たたせる「周りの殺風景」というか、何と言えばいいのか、良いからといって盛り込み過ぎないのが、良いデザインを良いモノにさせる力なのかなと思いました。シリアルの中にワサビ味の豆が入っていてビックリした朝でした。



さてさっそく初日の報告です。初日から興奮気味…というより、初日が今回のハイライトだったかもしれません。実りの多い1日でした。首都・コペンハーゲンから東に3時間ほど行ったところにある長い名前の自治体で、私企業がつくったバイオガス施設を訪ねました。


生ごみや家畜糞尿や草をタンクにためて「嫌気性発酵」をさせると出てくるメタンガスで熱や電気をつくるのがバイオガス施設。 原料を入れて、加温して、撹拌するだけのシンプルな構造なのですが、メーカーがそれぞれ工夫を凝らして、発酵を効率的に、そして安定させるための技術を磨いています。
トラブルの原因になるのは、撹拌するための装置や、原料の投入口がほとんど。トラブルが発生すると、いったん発酵を止めて、タンクを空にする必要があり、場合によっては数週間くらい稼働が止まってしまいます。その点、昨日みた施設は、タンクの中には何もないのがポイント。浴槽みたいなものです。沸かしなおしの原理で、中身の一部を引き出して、また戻す。それによって撹拌されるとのことです。これなら、メンテナンスが楽にできそうだなぁと思いました。私はエンジニアじゃないので、素人の感覚ですが。これがタンクからの引き出し口。


ここにカッターがついていて、原料をどんどん細かくするのだそうです。牧草を入れても、最終的にはこんなに小さく砕けるのだそう。これなら、阿蘇のススキを使っても大丈夫そうです!


そしてさらに「お!」と思ったのは、できたガスで発電していないこと。地中に埋めたパイプでガスを町まで送っているのです。どうってことのない、ごくありふれたパイプで。しかも、その途中で、ガスとして販売していました。メタンガスを精製して天然ガスの状態にし、ゴミ収集車の燃料にしているというのです。これができるなら、例えば生ごみを発酵させて、出てきたガスでゴミ収集車を走らせることができるんです。ちなみに、トラクターやトラックやバスや船の燃料にもできるとのことで、パワーが必要な車両に向いているそうです。


メーターが「ℓ」じゃなくて「㎥」でした。


九州電力さんが「再生可能なエネルギーの買取りが続けられないかも」と白旗を上げて論争になっていますが、ガスや車両の燃料なら需要はたくさんあるので、農村から出る糞尿や生ゴミでトラクターやゴミ収集車が動いたり、暖房・給湯用のガスとして使えたら、可能性が広がります。会社をつくったのが、元養豚農家のおじちゃんだったので、話していて本当に面白かった!


道中の風景は、ひたすら平らだという以外には、牧草のロールやらあか牛やらで、遠くに来た気が全然しない…(^_^;)というわけで、長くなりましたが、初日の報告を終わります。