デンマーク報告 ②

(注)長文です。


今回は、デンマークの再生可能なエネルギー事情について見て回る視察団の通訳として来ています。視察団より1日前に到着して、どうしても見たかったバイオガスプラントを見に行ったワケなのですが、昨日からは「通訳さん」としてのお役目がスタートしました。



視察団のメンバーは16人。「全国ご当地エネルギー協会」の幹事ら7人と、秋田県大潟村チーム8人。大潟村からは村長さんをはじめ、議員さん、市民団体のリーダーさんが来ています。また、デンマーク大使館からもお1人。



デンマーク政府は、「2050年までには完全に化石燃料に頼らなくなる」、というすごい目標を掲げているそうで、環境税をあげたり「エネルギーマネージャー」の導入を促したりして、①エネルギー効率の向上と、②再生可能なエネルギーの普及を進めています。海外からの視察を受け入れるのも取り組みの一つ。環境技術の輸出や各国との技術提携が狙いです。今回の視察は、そんなデンマーク政府の取り組みの一環だということでした。来てから知ったのですが(笑)

視察初日は、首都コペンハーゲンにある「House of Green」というオフィスで終日お勉強。まずは今回の視察目的や、デンマークの置かれている現状、目標、取り組みなどについて、4人の方からお話を聞きました。「時差ボケもあって、眠くなるかもしれませんが、しっかり聞いてください」と大使館の方から釘をさされていたのですが、眠くなるどころか、皆さん目をギラギラさせて、お話しされている人が圧倒されるくらい次々と質問が出てきたので、通訳は大変でしたが、視察団にとっても、主催したデンマークの組織にとっても実りの多い1日となりました。


印象に残ったのは以下の点。

1. デンマークは9割以上の資源をアラブ諸国からの輸入に頼っていたため、1973年のオイルショックで大打撃を受けた。→そこから政策転換。天然ガスの掘削やグリッドの整備、再生可能なエネルギーの促進、エネルギーの効率化に国をあげて取り組んできた。

2. 環境税が上がったが、もともと税金の高い国だったからあまり反発がなかったことと、補助金を用意するなどして還元できる仕組みを整えたので、かえって経済成長につながった。たとえば、環境技術やノウハウの輸出など。

3. 風力発電が有名だが、実は再生可能なエネルギーの7割がバイオマスエネルギー。特に麦わらの利用は世界でもトップで、地域暖房や発電施設の燃料となっている。

4.(日本が廃棄物処理の過程で出る熱をほとんど利用していないことを参加者から聞いて)「なんてもったいない!ものすごく可能性のある国ですね」と言われた。

5. 課題は輸送エネルギー。輸出入のためのトラックや船の燃料をどうしていくかがまだ明確に見えていない。

他にも、風力発電環境アセスメントや省エネ対策について「ほほう!」と思ったことはたくさんあるのですが、全部書いているとキリがないのでこの辺にしておきます。

セミナールームのつくりが変わっていて、その場にいるだけで発想が自由で創造的になりそうな、そんな空間でした。


夕方、電車に3時間ほど揺られて移動をしました。仮眠して疲れをとろうと思っていたのに、再生可能なエネルギー事業を市民の手でガンガン進めている女傑2人の向かいに座っていたので、「どうすればもっと気軽に発電や熱供給に普通の人が取り組めるか」なんていう途方もなく大きなお題で議論になり、3時間があっという間に過ぎてしまいました。結論は出ず。当たり前か(笑)そんなに簡単に答えが出るものじゃないですからね。でもせっかく大御所たちとご一緒させて頂いているので、デンマークにいる間に何かしらの妙案が浮かぶといいな。


そして夜は、30年以上前からのお付き合いをしている女性がわざわざ会いに来てくれて、一緒にご飯を食べました♪北欧には美味しいものがとても少ないのですが、何を食べるかより、誰と食べるかで美味しさが変わると言うもの。今日は美味しい夕飯でした(^o^)


昨日の報告は以上です。