あっという間の1週間

デンマークから帰国して明日で1週間。デンマークで毎日のようにブログをアップできていたのは、家事がないからだということにようやく気付きました。子供のことと家のことと田畑のことと地域のことを1日のうちにこなすと、夜にはクタクタで投稿どころではないのです。そんなわけで、日本では1週間に1度程度のアップを目指そうと改めて思った次第です。

帰国の翌日には、阿蘇の今後を考える「環境デザイン委員会」の分科会に出席。阿蘇は7つの市町村があるのですが、40代以下の農家が20名を切ったところもあるとのこと。農家がいてこそ創られている景観なので、これは由々しき問題。白熱した議論でした。


不惑の年齢に達したからか、最近、滅多なことでは腹が立たなくなってきたのですが、この会議で思わずカッとなってしまった場面がありました。何とかすぐに自分を取り戻しましたが。7つの市町村それぞれの役場から担当の方が来ていたのですが、隣町を除いて皆さん後ろ向きな発言ばかり。世界農業遺産や世界ジオパークの認定を受けても、それをどう活かすかが分からない、後継者がいない、野焼きがタイヘン等々・・・。分かってるんです、そんなこと。だからこそ、発想を変える努力をしてみなくてどうする?年配の方ならともかく、若い職員さんから前向きな発想が出てこないのは残念なことだなぁと思いました。

陰口を言うくらいなら直接本人に言うようにしているので、会議の後に率直な気持ちをぶつけました。地元の人がたくさん来ている場で思い切ったことを言うのは難しいとしても、今日は、本気で何とかしようと思っている有識者の方や、同じ課題に取り組んでいる他の市町村の担当者さんが集まっている上、非常にクローズドな会議で意見を求められているんだから、私見でもいいから「こんな風にしてみたいと思っています」くらいのことは言ってください、と。うるさいオバサンでごめんさないね、とも。あーあ、少しでも伝わっているといいなぁ。会議の帰り道に見たこんな風景、本当の残していきたいんだけどなぁ。あと少ししたら、いっせいに穂がふわふわになって山肌が黄金色になります。今はちょうどその過渡期。それでも神々しい風景です。



火曜日は農作業で、水曜日はまた外出。
「九州沖縄地域における放牧・粗飼料多給による赤身牛肉生産振興協議会」が発足しました\(^o^)/名前が長いのが難点ですが、要は“赤身の牛肉を増やしてこう!”という訳です。なぜか私は副会長というお役目を仰せつかりました。赤身牛肉は美味しいし、もっと増えれば草原が守れますから、いいんですけどね、別に。やりますよ、やりますとも。研究者、生産者、流通・加工業者、料理人、学生、そしてお医者さんも。会員は40を超える人や組織です。みーんなで赤身牛肉を広める方法を考えていこうというワケです。


設立総会の後は試食会。今や日本を代表するシェフになってきた宮本けんしんシェフがステーキを焼く実演をしてくれました。一切れとは言え、その焼きたてを食べれるという贅沢!

赤身肉を使った約30種類のお料理を楽しみました♪私が一番気に入ったのはしゃぶしゃぶ。沸かさない低温のお湯にさっとくぐらせることで、柔らかく、そしてジューシーに。どれもおいしかったです(^_^)v


その翌日には「エコセン」ことエコツーリズムセンターが主催するセミナーに呼んでいただきました。

お題は、「外国人旅行者に農山漁村での体験交流活動を」。登壇者はもとより、参加者の大部分が「実践者」。自分の住んでいる地域が元気で明るい場所であってほしい、ありつづけて欲しいと願って動いている人ばかりなので、議論がとても建設的でした。

「行政には何を求めますか?」という自治体職員の方の問いに、「特に求めません。中立的な立場で見守っていてください」と農家民宿のおばちゃんたちがそろって言っていたのが笑えました。自分でやる人は、頼らないってことなんですね。

農水省の本省からも九州農政局からも担当の方がいらしていたので、「九州やっぱりすげぇ」と思って帰られたはず。

元気モンの多い、活発な九州エリア。 「1つにまとまって戦略的なPRを!」なんて言わずに、このバラバラ感がまた魅力なのかも、と思いました。当人たちが「困ってる。何とかしなければ」と悩んでいるならともかく、人の取り組みを聞いて「あ〜、それも面白いね。うちもこんなに面白いよ」と言っている笑顔の輪はなんとも力強い雰囲気をつくりだしていました。そしてその笑顔こそ、来た人が「わ、あっちも面白そう。次はそっちにも行きたい」と思わせるに十分な魅力となっていると信じてやみません。

写真は、登壇者一同。阿蘇び心というゲストハウスを経営されている吉澤さんと、NPO地球市民の会の大野さんのお二人と一緒に事例発表やパネラーをしたのですが、二人とも話が面白すぎて、私は壇上なのに笑いっぱなしで、寄席を聴きに行ったみたいでした。


こんな日々の中、偶然オーストラリアからのお客さんがやってくることになったり、ご近所さんたちとお月見をしたり。


久しぶりに隣に住む婆ちゃんと一緒にご飯を食べた時、婆ちゃんとひ孫の会話に爆笑したり。

「婆ちゃん、今日どこ行ってたと?」
「地獄」
「へえ。どうだった?」
「良かったバイ」

阿蘇には地獄温泉というのがあって、本当に素晴らしいお湯なんだけど、年をとったら“温泉”を省略するのは止めて欲しいのであります(^_^;)


田舎に住んでいると、多忙ながらもその合間合間に風景や風の音や鳥の声に癒されると感じています。今日は疲れたな、と思ったら温泉へ。田舎暮らしの醍醐味です。また来週も盛りだくさん。頑張るぞ〜