師匠もERIも走り回る12月

雪が降りました。この2週間くらい、本当に飛び回っていましたが、ようやく落ち着きました。整理がへたくそなので、時系列でご紹介させて頂きます。


農業新聞の取材を受け、それが記事になりました。ありがたい記事だったのでこちらも紹介しちゃいます。
農家の将来像として、食べ物とエネルギーが作れる存在になりたいというのがかねてからの思いです。
一気には変わらなくても前進を続けようと、この記事を読んで改めて思いました。

日本農業新聞e農ネット


ある時は熊本市内の私立大学で授業をしました。どんなに忙しくても、教育機関からの依頼はできる限りお引き受けしています。
そして、学生さんにバンバン発言を求めます。自分自身にも関係のある問題として考える機会を持ってほしいから。
その甲斐あって、学生さんから「今日の話で目が覚めました。実家の庭で家庭菜園してみます!」と言ってもらえました(^_^)v 
食べ物を買うのは当たり前でも、作る楽しみや大変さを知った上で買うと意味合いが変わると思います。


私が学生だった頃、つまり授業を受ける側だった時、ドイツでは本当によく発言を求められたものでした。
私がドイツに留学して学んだことは、
「農村の風景を守っているのは農家である」という、考えたら当たり前のことでした。
逆に言えば、農家がいなければこの風景は守れないんだ、ということに気づいた時、私たちは迷うことなく就農したのです。
農家になって12年。微力ながら、この雄大な風景の一部でも自分が守っているという自負があります。

そんな中、「風景を食べる」というコンセプトの取り組みが阿蘇で始まりました。風景を思い浮かべながら食べると、さらに美味しくなりますものね。
これは元々ヨーロッパで生まれたコンセプトなので、「ようやく日本でもこういうことが言われ出した」という感じです。偉そうでスミマセン(^_^;)


そうなると、次にやってみたいのは
「風景を着る」。

というわけで、自分で撮ったお気に入りの景色を服にしてみました♪そういうサービスがあるのを最近見つけたのです。
できたのがこれ。形はTシャツかこのノースリーブワンピースしかなかったのですが、それなりにイメージ通りのモノができました(^_^)v 
しばらくはマイブームになりそうです。和服も好きだけど、やっぱり洋服は便利。皆さんもお気に入りの風景、着てみませんか(^_-)-☆
ほら、風景から抜け出して来たみたいでしょ?


この服を初めて着たのは、「さいばば食堂」というYouStreamの番組。ゲストに呼んでいただきました。
改めて聞いてみると、大したこと言ってないなぁと反省しつつ、カメラの設置角度が良くて実際より細く見えていることに一人で満足しています(笑)

https://www.youtube.com/watch?v=GU49oSGcB60&feature=youtu.be



ある時は東京でお仕事。エコプロダクツ展の記念シンポジウムにパネリストとして登壇しました。
このシンポジウムは、基調講演もパネルディスカッションも信じられないほど充実した内容で、聴きに来られた方からもたくさん嬉しい感想を頂きました。
以下、報告文です。

テーマは「地域創生」とか、「ライフスタイル」。意外なほどに「エネルギー」の話が多くて、あぁ、それで指名されたのかと納得しました。

基調講演は経済産業省環境省の方。続くパネルディスカッションの登壇者は5名。
過去最悪の公害を克服して世界をリードする環境都市へと成長した北九州市の環境局長・松岡さん。
いまやバイオマス業界では知らない人がいないほどの先進地・北海道下川町の町長さん。
もう10年以上もお付き合いさせて頂いている東北芸術工科大学の三浦先生。ダンディーでアイディアマンで行動力も抜群の方です。
結局さいごまで何をやっているのか掴めなかったけどメッチャ面白いなぁと思った龍谷大学の准教授、深尾さん。同い年。そして私。


特に印象的だったフレーズを挙げます。

「地方ではエネルギーに費やす割合が高く、少しくらい収入が上がっても、エネルギー代が高いので所得が上がらない」(経産省・井上審議官)

「地球上の資源が有限だとすれば、そこで暮らせる人口には限りがあり、人口がピークアウトした日本はいわば最先端。有限の資源をどうすれば有効に使えるかを世界に示すべき国」(環境省・中井審議官)

「地域の問題を多くの人が共有したことで可能になった」(北九州市松岡さん)

化石燃料から地域資源(木のチップ)に切り替えると仕事が奪われてしまうガソリンスタンド業者のことを考え、彼らが灯油の代わりに木のチップを売れるような仕組みにした」(下川町長さん)

「薪割りは1人でやるとつらくなるけどみんなでやれば実に愉快」(三浦先生)

「地方から資源や人や金が吸い取られる構造。それを変えるためには、町のお金の流れを把握することから。
出ていっているお金と生み出せるお金を自分たちでデザインしていきたい。そのためにローカルベンチャーファンドという手法を使っている」(深尾先生)

などなど。3時間半にもわたるプログラムで、メモを取りっぱなしだったので、それを載せていたらキリがないのですが、
具体的な提案につなげることを目的としたシンポジウム&パネルディスカッションだったので、たくさんのヒントを頂きました。

個人的に感じていることですが、「東京を離れても仕事ができる」という自信がある人から地方に移っている気がしています。
都会にいる時より収入は減っても、支出もストレスも減る。家族との時間や、季節を感じる暮らしを積極的に選ぶ人たちはこれからも増えていくことでしょう。
それこそが「これまでとは違う価値観に基づいたライフスタイル」であり「地域創生」。日本の未来はそんなに暗くはないんじゃないですかね。
地方を面白くするのは、きっと政治家じゃなくてバイタリティーやアイディアをいっぱい持っているごく一般の人なんじゃないですかね、と感じました。政治批判ではありません。


エコプロダクツ展の翌日には農家女性に向けた再生可能エネルギー講座は、講師4人のお話が見事に調和して、たいへん実りの多い会でした。
誰が企画したんだろう、こんな素晴らしい会(笑)


こういうセミナーはたくさんの方に聞いてもらいたいですが、農家女性はとにかく多忙。
農作業も家事も育児または介護もして、さらに地域のいろんな役も回ってきますから。だから、セミナーなどに行く時間をつくるのは至難の技なのです。
というわけで、今日の講師の方々のお力も借りながら、農作業や家事をしながらラジオ感覚で聴けるような、PodcastYouTubeを利用したプログラムを作っていこうと思います。
いろんな形でお手伝いしてくださる方、スポンサーをご紹介頂ける方がいましたら、ぜひ\(^o^)/


先週は、私のドキュメンタリー番組を制作したテレビ熊本さんの年忘れ感謝祭にご招待頂いたので参加してみたらなんと!
立食パーティーの各テーブルに我が息子たちの写真が飾られているでないの(゜o゜; 
今年のテーマが「阿蘇の未来」だったので、ただの風景写真より子供の姿があった方がインパクトありますよね〜なんていう話はしていたのですが、
20以上あるテーブルの、しかも表と裏が全てうちの息子や友人や牛や景色で飾られてるなんて!いやぁ、びっくりしました。
こんなことなら、子供たち連れて行けば良かった…と思った次第です。「世界が認めた日本の田舎」という標語も私の案。なんだか嬉しいです。



ある時は地元・南阿蘇での活動。環境省から3年間のチャンスを頂いて検討を重ねてきた南阿蘇村のバイオガスエネルギー事業。
今年がその最終年で、検討も佳境に入っています。初年度は「バイオマスって何?エネルギー事業って何?」という状態から始まり、
どれくらい資源があるのかを調べたり、どんな利用技術があるかを調べたり。2年目の段階では、村内の資源だけでは赤字になるかもしれないけど、
行政区をまたぐと違う大変さがあるから、何とかして村内で完結したいという住民の意向がまとまりました。
それを受けた3年目は、使えそうな資源をさらに調べたり、国内だけじゃなくて海外の技術も視野にいれたら、なんとか黒字にできる見通しがたってきました(^_^)v
とはいえ、本当に資源が集められるのか、誰が主体となって事業をするのか。億単位となる資金をどうやって調達するか等々、事業として始めるまでにはまだ課題がたくさん。

そんな中、今日の午後は今年度2回目の協議会でした。この協議会の特徴は、若い人が多いことと、とにかく地元の人で構成してること。
この手の再生可能エネルギーがらみの話は、原発事故後に住む場所を変えた、いわゆる移住者の人たちが関心を示すケースが多いのですが、
そうすると元々住んでいる方が一歩引いてしまうケースも全国的にたくさんあるそうなので、協議委員さんは1人を除いて全て地元の方にお願いしたのです。
そのかわり自由に傍聴できるようにしたので、関心のある方は誰でも参加できます。今日も20名ほどの方が聞きに来て下さいました。


今回は熊本県の副知事さんも参加して下さり、こういうローカルな事業の検討を続けていることに対してアツいエールを頂きました。
行政ももちろん力を尽くしてくれていますが、やはり地元の課題や可能性は地元に住む私たち自身で、できるところまで自力でやって、どうしてもできないところを行政に支援してもらうのが筋だと思っています。
課題が多いので、検討業務が終わったらすぐに事業化とまではいけないかもしれませんが、夢を持ち続けて、南阿蘇村での発電事業を実現したいです。引き続き、いろんな方々のご助言や参加をお願いいたしま〜す。


いやぁ目まぐるしかったです。これで今年の「公務」はすべて終えたので、あとは新年を迎える準備を整えます。
子供たちも今日から冬休み。この冬休みは特に大きな予定がないので、少しのんびりしたいと思います。