産前最後の出張でした

火曜日から日曜日まで、東京&北海道への出張に行ってきました。こんなに阿蘇を離れたのは久しぶり。産休に入る前に、もろもろ道筋をたてたかったので、ちょっぴりドキドキしながら大きくなったお腹を抱えて行ってきました。大げさでなく、この国の未来を感じられる素晴らしい成果のあった出張だったので、ご報告させて頂きます。



火曜日。女性農家たちの笑顔がまぶしかった!!熊本空港から羽田空港に降り立ち、お昼過ぎからは明治大学の教室をお借りしてNPO法人田舎のヒロインズの理事会を開きました。「農家だからキレイ(自然の多い環境で適度に体を動かす暮らしから生まれる健康美)」や「農村だから明るい(農山村でこそ再生可能なエネルギーを増やしてエネルギー自給を目指す)がキーワード。今年度とりくむ予定の具体的な活動について話し合いました。新しい体制になって2年目の今年は、事務局体制も強化して、バリバリと「想いを形に」していきますので乞うご期待です!


理事会に続き、明治大学での講義。「ローカルスタンダードをデザインする」という授業で、 地域固有(ローカル)で、しかも普遍的な価値(スタンダード)を考えるのがねらいだとのこと。まさにローカルな価値を生み出している面々が全国から揃っているのですから、話してもらわない手はありません。「農村に住むオンナたちの底力」というサブタイトルをつけて、理事さん5人にも登壇してもらいました。



もうね、正直言って、面白すぎました。モロに地域に根を張った暮らしから出る一言一言。ずっしーんと響くけど、本人は「当たり前」とばかりにケロリ&ニッコリ。高齢化ゆえに、「死」や「老い」が身近な暮らし。そこから生まれる他人への思いやり。東京では高いお金を出さないと手に入らない最高の食材に囲まれた豊かな暮らし。ラクな仕事ではもちろんない。田舎ならではの息苦しさもある。でもそれを上回る「価値」や「夢」がある。住んでいる場所も作っている作物も違う6人の現役女性農家による講義は、どんなに著名な教授にも負けない内容だったと思います。夕食時に出てくるいくつものめでたいニュース。日本の未来を彼女たちの笑顔の中に見ました。この時の模様は、翌日の農業新聞で紹介されました。「農の魅力 大学で講義」ですって。こういう機会は増やして行きたいです♪



翌日も、NPO田舎のヒロインズの理事さんと事務局で躍進。まずはLeeの本社にお邪魔しました。取締役の細川さんは農業にメッチャアツい方で。具体的な連携の話で行ったのではなかったのですが、阿蘇で開催するファッションショーに来て下さることになりました!ワーイ。



ランチミーティングを挟んで、午後は2社を訪問。広告代理店・博報堂の会長さんが直接時間をとって下さった上に、「素晴らしい活動ですね!」とお褒めの言葉を下さりました。


気の長い話だけど、たとえ10〜20年かかったとしても、農家自身が自信をもって「私たちはこれだけのことをやってるんですよ!」と言えるようになっていきたいし、農家じゃない皆さんが「農業は単なる産業じゃなくて、自分たちの暮らしや命を支える存在だから守るのは当たり前」という意識を持つようになって頂きたい。


TPPや高齢化は難しい問題だけど、嘆いても反対しても、進むものは進むわけで。それより、大切な農地や山や川を子供たちにも孫たちにも残していきたいという女性としての想いを、明るく前向きに発信していくのが、私たちにできること。


秋から始まる女性農家向けのオンライン講座や田んぼファッションショーでは、NPO(非営利組織)らしさを活かしながら、経済界や行政と連携して、想いを1つ1つ、形にしていきたいと思います。


木曜日は生憎の雨でしたが、千葉県市原市にある「ソーラーシェアリング上総鶴舞」にお邪魔してきました♪「畑で野菜も電気もつくる」を実現している場所なので、前々からぜひ行きたいと思っていたのです。実際に見てみたら、思っていたよりパネルの存在感がなかった。支柱が邪魔だと思ったこともないわけじゃないけど、野菜の売上より電気の販売額の方が多いから、気にならないとのこと。野菜の収量は設置前と変わらず。



売電用のパネルとは別に、小さ目のビニールハウスに設置した太陽光発電パネルは、サンチュの水耕栽培で水を回すモーターの電気を生み出していました。パフォーマンス用?に用意しておいてくれた移植をしました。若干、写真撮影会っぽいですが、一応、本職(農家)3人です(笑)




やっぱり百聞は一見にしかず。とても勉強&参考になりました(^_^)v 市役所の方や関係者の方がたくさん集まって、あたたかく出迎えて下さいました。ありがとうございました!


千葉から東京にとんぼ返りして、野菜などの宅配をしている3社の皆さんと合同ミーティングをしました。らでぃっしゅぼーやパルシステム、大地の会。ライバルなのかと思っていたら、なんだかとってもいい関係。農産物の生産(つまり生業の部分)以外に果たしている農家の役割を発信することについて、いろいろ意見交換をしました。楽しかった。先に帰ってしまった「大地の会」の広報誌を手に、お〜これいいなぁ、と素直に褒めるらでぃっしゅぼーやパルシステムのお三方。生産者にとってありがたいことだな、と思いました。



ここでヒロインズメンバーとはお別れ。可愛いすぎる私の宝物たちもご紹介します♪カメラマンがいなくて一緒に写れないので、私の代わりに銅像と並んでもらいました(笑) NPO法人田舎のヒロインズの事務局をしてくれている30代、20代の彼女たちと、農家&農村の未来を明るくする努力をしていきたいと思いますo(^-^)o 


その翌日。帰路につくどころか、さらに北上。「全国ご当地エネルギー協会」という組織の幹事役を務めているのですが、札幌で設立1周年記念シンポジウムがあったので出席しました。大企業によるメガソーラー発電ではなく、市民の出資によって太陽光発電風力発電などの再生可能なエネルギー事業に取り組んでいる全国の皆さんでつくるネットワークです。先日、我が家に来て下さった慶應大学金子勝先生による貴重講演のタイトルは「エネルギーと食とお金を地域で回す」。金子節炸裂で、思わず笑いながらも、この国の置かれている危機的な状況をしっかり勉強ました。




シンポジウム2部のパネルディスカッション「女性が創るエネルギーと食とお金と地域の可能性」も、その後の懇親会も、大いに盛り上がりました。

農業だけの問題でもエネルギーだけの問題でもない。でもどこの地域でも抱えている問題はほとんど一緒で、食とエネルギーの地産地消を増やさないことには、地域の持久力を上げられない。命と暮らしを支える食とエネルギーを地域外に頼りっきりだなんて、危険極まりないじゃないですか!やってやれないことはない。おねーさま方によると、「女性は怖いものなしなのでやりますo(^-^)o」ですって!私はまだまだその境地に至ってないから実現できてないのかもですが、こんなに力強い先輩たちが応援してくれているので、子供もエネルギーも「産みだす」よう頑張ります(^_^)b どうしても参加したかった会に参加できて良かった♪さすがに二次会は諦めておとなしくホテルに戻りましたが、皆さんはすすきのに向かわれました。エネルギー事業に関わってるだけに、エネルギッシュですね〜。




そして今日。北海道から熊本へ向かう途中、羽田空港からちょっと足を伸ばして横浜へ。たまたま母方の親戚の集まりがあるとのことで、顔を出したのですが、これが面白かった。

私の曾祖母の父親は矢野二郎と言って、幕末に外国奉行に勤めた後、明治維新後は外務省、そして日本初の商業学校校長に就任。存続の危機を何度も乗り越え、私財も投入し、6年間で5度の学制改革を経て、1887年に誕生した高等商学校(後の一ツ橋大学)の校長となった人です。




その矢野二郎さんの夜叉孫(やしゃまご)の集まりだと言うことで、私も初めてお会いする方もいらっしゃいましたが、自分のルーツを垣間見る、貴重な機会となりました。


びっくりしたのは、一ツ橋大学に今でもある矢野二郎さんの銅像の除幕式で、幕を取る役をしたのが祖母だったこととか(その様子を記録した無声映像が一ツ橋大学に残っており、本日初公開。みんなで見ました)、曾祖母のフィアンセはタイタニック号に乗っていて亡くなったこととか。まぁその方が亡くなったからこそ、曾祖母が曾祖父と結婚して、私がいまこの世にいるわけなんですが。

ここしばらく、教育の話題に何度か触れてきて、実は私の心のどこかに「人生のどこかのステージで学校をつくることになるかも」という漠然とした思いがあるのです。それがいつなのかも、実現できることなのかも分からないのですが、こういう発想は100年以上も前から繋がる自分のルーツによるものなのかもしれないと思うと、なんだか不思議と涙が出てきました。 配られた雑誌の連載には、「そこには、新しい価値を創らんとする力があった」という見出し。幕末のように混沌とした状況の日本。ひいひいお祖父さんの意志を、時代を越えて受け継ぐことになるのかもしれません。



本当に充実しまくりの毎日で、若干あたまが追い付いていませんが、阿蘇でもやることがたまっているので、明日から頑張ります。