新潟リポート 〜エネルギー編〜

月一ペースで遠方に出かけています。「農家が食べ物もエネルギーもつくる社会」を目指して10数年あれこれ動いて来ましたが、ここ1,2年で結果を出していきたいところなので、精力的になっています。


今回の新潟行きは、仲間の女性農家さんたちにまずは現場を見て頂きたいという思いで企画したのですが、女性に限らず、男性の農家さんや企業の農業部門担当者さんなど、当初の予想よりずっと多様な方にご参加いただきました。公募したツアーとしては1泊2日。NPO法人田舎のヒロインズの理事さんには更にもう1泊してもらって居残り勉強&今後の打ち合わせをしました。再生可能エネルギーフェチの私にとっては夢のような3日間でした。以下、リポートです。


前日まで嵐に近い雨だったという新潟の初日。市民出資による太陽光発電の施設ではピーカンになりました(^_^)v

去年の夏、新潟市内であった「市民の力で市民が使うエネルギーを作りたい」という集会にお呼び頂いた時は、元気な皆さんだなぁという印象はありましたが、まさかこんなにすぐ実現するなんて思ってもいませんでした。いやぁ、素晴らしい!今日お邪魔した施設が第1号機で、来春までになんと23号機までできるとのことで、ホントにスゴイ!でもパネルとの写真は「おらって市民発電」の方ではなく当NPOが誇る美しすぎる農家さん、丹羽なほ子ちゃんと。だって綺麗なんだもん♬



おらって市民発電さんはご苦労もいろいろあるのでしょうが、どこまでも前向きで、売電収入で環境教育にまで取り組むということです。1年間でこの成果。うーむ、恐るべし、新潟。しっかりお話しを聞かせて頂きました。最後に「おらってのオー」ポーズで記念撮影。


素晴らしすぎてすっかり時間が押してしまいましたが、市民出資発電のお次は、私が敬愛する「エネルギー兼業農家」の遠山さんを瀬波温泉に訪ねました。今回の視察の目玉です。温泉街の生ゴミを集めて嫌気性発酵によって出たメタンガスを使って発電。電気は売って、同時にできた熱を使ってパッションフルーツをはじめとしたトロピカルフルーツを作っていらっしゃる(株)開成さん。こちらが千疋屋さんで売れ筋商品となっているパッションフルーツを育てるビニールハウス。


周りが思う「無理でしょう」にとらわれず、こうしたらできるんじゃないか、ああしたらできるんじゃないか、と模索してきた遠山社長の言葉は1つ1つが響きます。農家だからこその視点や想い。そして数億の投資をしたのに許可や結果が出ないという大変な時期の話もけろっとした表情でさらりと話す姿勢。社員さんへの期待と配慮。作りたい作物はまだまだあるけど、社員さんたちに呆れられそうだから、といたずらっ子の顔をしていました。


遠山さんと社員さん、そして近所の女性農家さんを交えて夜まで意見交換会をしました。翌日。まずお邪魔したのはペレットボイラーを入れている阿賀町の町立保育園。冷暖房ができる設備で、保育園側としては温度調節がしにくかったり、一度ボイラーを消してしまうと再点火に時間がかかったり反省点はあるものの、町内でとれる資源で子供たちの環境を整えてあげられることに大きな満足はあるとのこと。木をふんだんに使った明るい園舎でした。


お次はペレット製造工場へ。ここは官設民営(行政が合併特例債で建設し、運営は民間企業)で、この施設があることで、年間100ヘクタールの森が適切に管理されるそう。町の政策として、森林を使うことで守る、と決めたところがまず素晴らしいですが、運営をしている企業の社長さんのあつき想いがまた素敵。


自分で言うのもなんですが、中身の濃いー視察ツアーでした(^_^)v 視察ツアー終了後、理事さんたちは居残り勉強&打ち合わせ。次のアクションに向けた会議をしました。そして最終日。最後の最後にガツンとやられた感じでした。


宿泊したのは、ペレットボイラーを使って温泉のお湯を沸かしている旅館、ホテル大橋館の湯。朝からボイラーメーカーの方がホテルないらして説明をしてくれました。今は原油価格が下がったので、ペレットの方が割高になりかねない状況ですが、「遠い外国にお金を払うくらいなら地域に落としたい」という経営者さんが少しずつでも増えているそうです。


最後に「新潟に行くなら彼にぜひ会ってきて」とご紹介いただいていた、さいかい産業の古川さんを訪ねました。ペレットストーブを作っている製造者さんですが、手品師と呼びたいくらい、「こんなものがあったらいいな」を作ってしまう人でした。ご自身が楽しそうにしているから、自然とまわりが助けたくなる。助ける、というか、「俺にもやらせて」的に知恵や技が集まってくる。不思議な惹きつけ力を持つオジサマでした。

工場に着いたら、開発中のピザ窯つきペレットストーブで焼きたてピザでお出迎え。高価と言われていたペレットストーブをなるべくシンプルなつくりにして20万以下で製造できるようになったとのこと。ご自宅にあるペレットボイラーは家庭やビニールハウスで使えるサイズで、すぐにでも欲しくなりました。800人がペレットストーブを使うと、年間1億円の経済効果がある、と古川さん。灯油代5千万がいらなくなり、地域の中に5千万が落ちるから、と。ふむふむ。



着火剤やストーブの調整ツマミ、燃料となるペレットなどは福祉作業施設で製造しています。その事で50円だった彼らの時給を750円にあげたそうで、全国の福祉作業施設から視察が耐えないとのこと。視察に来た人がお金を落とせるよう、杉から抽出したオイルでアロマオイルや虫除けスプレーを開発しました。もちろん私たちも争うようにして買いました。町工場のような福祉作業施設は、超ローテクによる最先端の6次産業化施設でした。こんな取組みが増えれば、森の整備も進むし、雇用も生まれるし、地球温暖化防止にもなるでしょう。「エコって言葉は嫌いなんだ。でもこのストーブも着火剤もいいでしょう?」とニコニコ笑顔の古川さん。お会いできて良かったです。



お別れに自作の楽器で演奏してくれたのですが、それがまた上手。「人殺し以外は何でもするよ」ですって。楽しすぎて笑いっぱなしでした。次に何をやるべきかがしっかり見えてきた今回の視察。新潟、最高でした!